HHCはキマる?その効果
HHCとは
HHCは「ヘキサヒドロカンナビノール」という大麻由来の成分の略称です。HHCは1944年にイリノイ大学の有識化学者であるロジャー・アダムズ(Roger Adams)がカンナビス由来のTHCを「水素化(半合成)」することによって初めて作り出されました。
水素化とは化合物に水素原子が付加する還元反応のことを指します。HHCはTHCよりも安定した形態で、熱や紫外線に耐性があり、THCよりも大幅に長い貯蔵寿命が特徴です。
HHCの効果
これまでにHHCの研究はほとんど行われていないため、どの程度の作用があるかは定かではありませんが主に以下のような効果があると言われています。
- 慢性的な痛みの緩和
- 炎症を軽減する
- 不安を和らげる
- 活力増加
- 吐き気の抑制
- 食欲増進
- 睡眠の質の改善
- リラックス効果
- 幸福感の増加
HHCの安全性・危険性
HHCは即時、または長期摂取における安全性を確認したデータが存在していません。
HHCが作用するカンナビノイド受容体は神経系と免疫系を中心に全身に存在し、多様な役割をもっています。確立されたデータはありませんがHHCの摂取により異常な刺激を受けることで身体に様々な副作用が生じる恐れがあります。
HHCを吸った経験がある男性は「吸引後酩酊感や高揚感が2〜3時間続き、視覚や聴覚など全身の感覚が研ぎ澄まされた。『ハイ』の状態になり、足元がふらついた。車の運転なんて絶対にできないと思った」などとネット上の口コミも残されていることから、強い精神作用があることが推測されます。
また、Twitter上ではHHCを使用後
「目眩」
「嘔吐感」
「過集中」
「頭がボーッとする」
などの体感があったとの感想も呟かれていました。
HHCは合法?日本での規制
2022年3月7日に厚生労働省は「HHC」を含む危険ドラッグの成分6物質を新たに指定薬物に指定しました。それにより施行の令和4年3月17日以降はHHCの製造、輸入、販売、所持、使用等が禁止されています。
規制発表の当日は、大口の販売者のTwitterでのセール告知をすると滑り込み需要で大行列が発生し話題となりました。
HHC規制までの経緯
THCは精神作用があることで知られていますが、HHCについても精神作用・陶酔作用があると言われています。これにより慢性的な痛みや精神不安、不眠から解消された人が多く、昨年2021年末頃からTwitterを中心に話題となって一部の界隈で爆発的な流行を見せました。
2022年の2月3日にCBD議連の第4回会合が開催、「厚生労働省」により合成カンナビノイドと危険ドラッグの説明がなされ、同時にHHCという成分についての説明がされます。それから1ヶ月後の3月4日には厚生労働省薬事・食品審議会 指定薬物部会が開催され、3月7日にHHC等6物質の指定薬物への指定公示、10日後の3月17日に施行、と非常に素早い措置がとられました。
異例の早さで取り締まりが進んだことから、市場で一気に流行してしまうことを恐れた対応ではないかと考えられています。厚生労働省は『毒性があり、中枢神経系に作用して指定薬物になるであろう物質についてはカンナビノイドに関わらず今後も禁止にしていきたい』という意向を示しています。
アメリカでの議論は?
アメリカにおけるHHCに対する法的立場は意見が対立し、州によっても意見が分かれています。
連邦法ではTHC含有量が0.3%以下の麻から抽出された成分は合法とされているため、麻から抽出された原料をもとに生成されるHHCは完全に合法である
規制物質と実質的に類似する化学物質を違法とできる連邦類似体法を適用すると、規制薬物であるTHCに分子構造が酷似しているHHCは違法である
ハイになるHHC
HHCはどのくらいキマるのか
HHCはTHCとよく似た精神作用や陶酔作用があるとされています。HHCはCB1というカンナビノイド受容体に直接結合するため精神作用を引き起こします。
向精神作用や陶酔作用が発現することを俗にいう「キマる」というのであればHHCも「キマる」といえるでしょう。
その「キマる」の程度についてですが、THCとHHCの脳への影響を比較したマウス実験ではHHCにはTHCほどの作用はないという結果が得られています。HHCのがん医療への利用に関する研究分野でも精神・神経系の副作用はTHCよりも少ないと考えられています。そのため、THCほどはキマらないですが同類の精神作用があり、THCにより誘発される副作用と類似した作用が誘発されることが想定されます。